高市早苗首相(64)が国会で行った台湾有事に関する答弁を巡り、中国側からの激しい報復が相次いでいます。日本への渡航・留学の自粛勧告、日本産水産物の事実上の輸入停止に加え、中国商務省の報道官は高市首相の答弁撤回がなければ「断固として必要な措置を取る」と追加報復を示唆。こうした動きに対し、日本国内でも野党や大手メディア、一部ジャーナリストから批判の声が上がっています。本記事では、この問題の背景と、日本が中国の過剰な言動にどう対峙すべきかについて深掘りします。
中国による報復措置と日本国内の議論
中国政府は高市首相の台湾有事に関する答弁を受け、日本に対する報復措置を矢継ぎ早に実行しています。具体的には、日本人への渡航や中国への留学を自粛するよう促し、日本産水産物については事実上の輸入停止を通告しました。さらに、中国商務省の何詠前報道官は、日本側が高市首相の答弁を撤回しなければ、「断固として必要な措置を取る」と述べ、追加の報復措置も辞さない姿勢を示しています。
こうした状況下、日本では野党勢力や主要メディア、一部のジャーナリストが高市首相を批判する論陣を張っています。特に注目されるのは、中国の駐大阪総領事が一国の首相に対し、「その汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやる」と過剰かつ扇動的な発言をしたことです。外交当局者や識者からは、このような挑発的な言動に日本がどう対峙すべきか、懸念の声が上がっています。
高市首相の「存立危機事態」答弁の背景と真意
元外務事務次官で駐米大使も歴任した杉山晋輔氏は、高市首相の「存立危機事態」に関する答弁について、「誰もが考えていた当たり前のことを普通に言っただけ」と述べ、問題視する意見に理解を示しません。
「存立危機事態」とは、国際法上の集団的自衛権を行使する根拠となる事態を指します。これは、日本が直接武力攻撃を受けていないものの、日本と密接な関係にある他国が攻撃されることで、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に限り、自国が攻撃されていなくても他国を助けることを許容する概念です。日本はこれを国内法で規定しています。
高市早苗首相が国会で答弁する様子
杉山氏が外務審議官だった2015年、安倍政権下で成立した安保法制において、この「存立危機事態」が初めて盛り込まれました。当時、国会の法案審議では具体的な事態の定義について多くの議論がありましたが、政府は「事態を総合的かつ客観的に判断する」とのみ答弁していました。しかし、高市首相は今回、首相として初めて公式の場で台湾有事を例に挙げて答弁しました。杉山氏は、これが批判の対象となっているものの、官僚的な「木で鼻をくくったような答弁」ではなく、一般国民にも分かりやすい言葉で説明しようとした結果だと評価しています。
日本は中国の過剰な言動にどう対峙すべきか
高市首相の台湾有事を巡る答弁に対する中国の過剰な報復と、それに対する日本国内の議論は、日本の安全保障政策と外交戦略の重要性を浮き彫りにしています。外交当局者や識者、国境の島の首長たちは、中国情勢や安全保障への危機感を募らせています。日本は、国際法に基づいた自国の防衛原則を明確にしながら、他国の過剰な扇動的言動に対しては毅然とした態度で臨む必要があります。国民に分かりやすい言葉で安全保障の概念を説明し、国際社会との連携を強化することで、地域の安定に貢献していくことが求められます。





