JR東日本が発行するIC乗車券「Suica(スイカ)」の象徴として長年親しまれてきた「Suicaのペンギン」が、2026年度末をもってその役割を終えることが発表されました。サービス開始から25周年を迎えるにあたり、Suica機能のさらなる充実に伴い、新たなキャラクターへとバトンが渡されます。多くの利用者に愛されてきたこのペンギンは、Suicaの認知度向上と普及に大きく貢献してきました。
長年の貢献と愛されたキャラクターの退場
JR東日本は2025年11月、Suicaが2026年秋から機能を強化することに合わせ、Suica誕生25周年を節目にキャラクター交代を行うと発表しました。Suicaの導入当初からその愛らしい姿で多くの利用者の心を掴み、サービスを象徴する存在として定着したSuicaのペンギンは、その認知度向上と利用促進において計り知れない貢献を果たしてきました。
スマートフォンに表示されたモバイルSuicaの画面
作者であるイラストレーターの坂崎千春氏は、「25年という長い時間、『Suicaのペンギン』として歩むことができて幸せでした」とコメントを寄せており、その言葉からもキャラクターと長年にわたる深い絆がうかがえます。
Suicaカードと長年親しまれたSuicaのペンギンのイラスト
Suicaの歩み:首都圏から全国、そして電子マネーの進化
「スイスイ」行けるICカードを意味し、「Super Urban Intelligent Card」を略した名称を持つSuicaは、2001年11月18日に首都圏の424駅でIC乗車券サービスを開始しました。以来、他の交通事業者との相互利用や電子マネー機能の導入などにより、利用可能エリア、サービス、そして店舗数を飛躍的に拡大してきました。
現在では、カードとモバイルSuicaを合わせて約1億2000万枚(2025年10月末時点)が発行されており、全国で約218万4000店(2025年9月末時点)もの店舗で利用可能となっています。これは、Suicaが単なる乗車券の枠を超え、日常生活に不可欠な決済ツールへと進化したことを示しています。
Suicaの利用実績と成長の軌跡
Suicaは、その利便性から多くの利用者に支持され、目覚ましい成長を遂げてきました。
- 利用可能店舗数: 約218万4000店舗(2025年9月末時点)
- 1日当たり最高利用件数: 約1183万件(2025年7月25日)
- 1カ月当たり最高利用件数: 約3億2306万件(2025年7月)
- (最高利用件数については2025年10月時点のデータに基づく。出所:JR東日本)
Suicaの主な歴史を振り返ると、その進化の過程が明確になります。
- 2001年11月18日: 首都圏エリア424駅でサービス開始
- 2004年3月22日: Suica電子マネーサービス開始
- 2004年8月1日: JR西日本の交通系ICカード「ICOCA」とのIC乗車券相互利用開始
- 2007年6月1日: ポイントサービス開始
- 2013年3月23日: 交通系ICカード全国相互利用サービス開始
- 2013年7月: 交通系電子マネーの月間利用件数が初めて1億件突破
- 2018年7月: 交通系電子マネーの月間利用件数が初めて2億件突破
- 2019年9月1日: 訪日外国人旅行者向け「Welcome Suica」のサービス開始
- 2020年9月8日: モバイルSuica会員数が1000万人突破
- (出所:JR東日本)
Suicaの発行枚数と利用状況の推移を示すグラフ
Suicaのペンギンは、この25年間、常にSuicaと共に歩み、その成長を見守ってきました。愛されたキャラクターの「卒業」は寂しさを感じさせるものの、Suicaが次のステージへ向かうための前向きな変化と捉えることができるでしょう。今後のSuicaのさらなる進化と、新たなキャラクターの登場に期待が高まります。
参照資料
- JR東日本「FACT BOOK」
- JR東日本「JR東日本ニュース おかげさまでSuicaは20周年」





