小泉進次郎防衛大臣「覚醒」論争の裏側:自己アピールと実務の狭間

高市早苗首相(当時)によって新政権の要職である防衛大臣に起用された小泉進次郎氏(44)は、その就任以来「覚醒」したとの声が聞かれるようになりました。しかし、この「覚醒」の実態については、内部から異なる見解も浮上しており、自己アピールと防衛大臣としての実務の間で、その資質が問われています。

防衛大臣就任と「覚醒」への期待

小泉進次郎氏は、総裁選での敗北後、重量級閣僚として防衛大臣に抜擢されました。この人事は、ライバルを政権内に取り込み挙党体制を演出する狙いがある一方、来年の改定に向けた「安保3文書」に関する難しい国会対応や世論対策を小泉氏に託す意図も指摘されています。

就任直後から、小泉氏は自身のポッドキャストやYouTube番組で、防衛大臣という職務の重さを強調しています。彼は前任の農林水産大臣と比較し、「扱っている情報の秘密の重さ。これは言えないことだらけなのね。もうポッドキャストで絶対無理」「防衛大臣は、毎日機密、秘密の重み。これは次元が違います」と述べ、職責の重大性を強く認識している様子を見せました。

防衛省からのレクチャーを通じて、小泉氏は米CIAのバーンズ前長官も言及する「2027年までに起こりうる台湾有事」の切迫性を再認識したとも伝えられています。中国の習近平国家主席の3期目任期満了と人民解放軍創設100年が重なる2027年は、まさに有事のタイミングとして近く、彼自身が「有事のリーダー」になる可能性も示唆されています。

国会答弁での評価と「覚醒」論

就任から2週間あまりで訪れた“危機”への対応で、小泉氏はとりわけ評価を高めました。高市首相をフォローする形での国会答弁です。高市首相が、台湾有事で中国の軍艦による武力行使があった場合、集団的自衛権を行使可能な「存立危機状態」になりうると答弁した際、野党から集中砲火を浴びました。これに対し小泉氏は、「すべての情報を駆使しながら総合的に判断をする」といった防衛省の想定問答を巧みに用い、見事に追及をかわしました。

インドネシア国防相と豪華ヘリで(小泉氏のXより)インドネシア国防相と豪華ヘリで(小泉氏のXより)

この答弁に対し、野党である国民民主党の榛葉賀津也幹事長も11月14日の記者会見で「ちょっと覚醒した感があるね」と絶賛し、ワイドショーなどでも紹介され、小泉氏の「覚醒」を裏付けるかのような論調が広がりました。

防衛省幹部が語る「幻の覚醒」

しかし、その裏側では異なる実像が浮かび上がっています。ある防衛省幹部は、小泉大臣の「覚醒」は「幻」に過ぎないと明かしています。幹部によれば、実際には「自分のアピールのために、自衛隊の幹部たちを振り回して、次々と“事件”を起こしている」とのことです。

記事では、この「幻の覚醒」の具体的な事例として、「自己アピールのための要人ヘリ要請」「不可解なインド大臣との会談ドタキャン」「ホテルに忘れたカンペ」といったトピックが詳しく報じられるとされており、防衛大臣としての資質が検証されることになります。

結論

小泉進次郎防衛大臣の就任は、国内外の安全保障環境が緊迫する中で大きな注目を集めています。彼が公の場で示す「覚醒」したかのような言動と、防衛省内部から囁かれる「自己アピールのための行動」という異なる側面。これらの情報から、小泉氏が本当に防衛大臣の重責を担うに足る人物なのか、その実像と資質が今後さらに問われることになりそうです。彼の今後の行動と、それが日本が直面する安全保障上の課題にどう影響するのか、引き続き注視が必要です。