安住淳幹事長の「態度」が物議、立憲民主党SNS戦略の課題露呈か

立憲民主党が今年7月の参議院選挙後に公表した「総括」文書には、「各SNSともエンゲージメントが少なく、拡散されにくい状況が続いた。エンゲージメントを増やしてより拡散されるようにするためには、一般の人が強く共感し、拡散したくなる魅力あるコンテンツが求められる」と記されています。これは、改選22議席維持にとどまった参院選の「事実上の敗北」を受け、党勢拡大のためのSNS運用が重要な課題であることを示唆していました。しかし、先日、同党の公式X(旧Twitter)に投稿された動画が、その「一般人の共感」からはかけ離れた内容として、大きな波紋を広げています。

「忙しくて嫌だ」安住幹事長の動画での発言が波紋呼ぶ

立憲民主党の公式Xは12月7日、渡辺創広報委員長(48)と安住淳幹事長(63)が出演する2分程度の動画を公開しました。投稿には「渡辺広報委員長が行く!8日の参院本会議の財政演説に対して財務大臣経験者 #安住淳 幹事長が質問 渡辺創広報委員長がポイントを聞きました」とあり、翌日の財政演説のポイントを説明する内容でした。しかし、問題視されたのは動画冒頭の安住氏の「態度」です。

渡辺氏が議員事務所のデスクに向かう安住氏に「よろしくお願いします」と挨拶すると、安住氏はデスクに肘をつきながら「はい、あんまり今はもう忙しくて、よろしくお願いされたくないんだけど」と応じました。さらに、「僕、記者出身だから、あなた(渡辺氏)と一緒で。人任せにするの嫌だから、今頭の中が交響楽みたいに、ゆっくり入って、どこで盛り上げてみたいなね?頭の中を整理している真っ最中で、本当は来てほしくなかったのね」と続けました。

立憲民主党の安住淳幹事長。その言動がしばしば議論の的となっている。立憲民主党の安住淳幹事長。その言動がしばしば議論の的となっている。

渡辺氏の訪問に「嫌々」応じるかのような安住氏でしたが、その後は、総理が掲げる「責任ある積極財政」に対し、「本当に責任がある財政運営をするなら、こんなに大盤振る舞いしないと思う。積極財政をしながら財政健全化って矛盾する話でしょう。財務大臣経験者として、そこをちゃんと言わないと。赤字国債バンと出して色んな事業にお金をつけてる。みんな次の若い人たちに対する借金だから」と、翌日の財政演説での質問ポイントを説明しました。

「上司感満載」「感覚がズレている」SNS上での批判の声

党の広報SNSというアピールの場であるにもかかわらず、冒頭の安住氏の態度が「偉そう」であるとして、視聴者からは以下のような疑問の声が上がりました。「広報下手くそすぎて心配になる」「見え方考えてないね。嫌な上司感満載。これ出す時点で広報下手や」「最初の30秒ほどのやりとりは載せる必要ある?このやりとりを見た時に、プラスのイメージになるのはあまりないと思うんだけど。これを、公式が載せてるあたり感覚がズレてる気もする」「これは酷い若年層が忌み嫌うことをすべてやってのけている ズレすぎていてお話にならない」など、厳しい意見が相次ぎました。

過去にも物議を醸した「上から目線」の振る舞い

安住氏の公の場における振る舞いが「上から目線」だと問題視されたのは、今回が初めてではありません。ある政治部記者は、今年10月14日、安住氏がメディアのインタビューで国民民主党の玉木雄一郎代表を「玉木」と呼び捨てにした例を挙げています。直後に「玉木代表」と言い直したものの、以前には日本維新の会の藤田文武共同代表を「藤田君」と呼んだこともありました。玉木氏は同月15日の立憲・国民・維新のトップ会談で、安住氏について「態度と口が悪いんですよ、いつも」と不満を述べ、SNS上でも「何様なんだ」といった批判が噴出していました。

衆院本会議での高市首相への厳正な追及

しかし、安住氏が立憲民主党きっての「やり手」として知られていることも事実です。8日の衆院本会議では、高市早苗首相(64)に対し、補正予算案について以下のように厳しく迫りました。「(補正予算案の)歳入を見ると11兆円を超える新たな国債を発行するとして、財源に当てている。これだけ多額の国債を発行してまで補正予算を組んだのはなぜか」。

さらに、「喫緊の課題である物価高対策には9兆円ほどを盛り込んでいる。しかし、それ以外は、総理の持論である危機管理の投資、成長投資、防衛力と外交力の強化などその他の予算に振り分けられている。財政法29条では、補正予算は本予算後に生じた時に、緊要となった支出の場合に限り、編成ができるとされている。物価高対策以外の予算は、この緊要の支出には到底当てはまらないものばかりではないか」と指摘し、政府の財政運営を厳しく追及しました。

まとめ

安住淳幹事長は、国会での鋭い質問や政策論議における高い専門性で評価されるベテラン政治家です。しかし、今回のSNS動画に見られたような「態度」や、過去に指摘された「上から目線」とも取れる振る舞いが、一般有権者、特に若年層の共感を得にくいという課題を浮き彫りにしました。立憲民主党が党勢拡大を目指す上で、優れた政策立案能力や論戦能力に加え、国民に寄り添い、共感を呼ぶコミュニケーション戦略、特にSNSを通じた発信の見直しが、今後の重要な鍵となるかもしれません。