現在43歳の鈴木憲和農水相は、開成高校から東京大学法学部に進み、農林水産省のキャリア官僚として経験を積んだエリートです。2012年に衆院選で初当選し、国会議員としては「農水族」としてその頭角を現しました。今年10月に農水相に就任した際、「生産現場をよく知る人物」として多くの期待が寄せられましたが、現在、その施策、特にコメ価格に対する姿勢に対し、国民からの不満が噴出しています。
高騰続くコメ価格と鈴木農水相の「市場任せ」方針
X（旧Twitter）上では、「分かりやすく庶民の敵だろ」「鈴木農水相の施策には賛同できません」「国民が求める政策を聞き入れない姿勢は正しく官僚上がり」といった批判的な投稿が相次いでいます。これらの批判の主要な原因の一つは、コメの価格高騰に歯止めがかからないことです。昨年の夏から異常な上昇を見せ始めたコメ価格は、消費者を苦しめ続けています。
しかし、鈴木農水相は就任当初から「コメの価格に国は関与しない」という方針を明確にしており、この姿勢は揺るぎません。12月5日の大臣会見でも「コメの価格はマーケットの中で決まっていくものであります」という常套句を繰り返しました。自身の信念に基づく発言かもしれませんが、結果的にコメ価格が高騰し続けている現状では、消費者からの批判は避けられないでしょう。
鈴木農水相の肖像
都市部での深刻なコメ不足と高価格の実態
12月5日夕方、農林水産省は全国のスーパーで販売されているコメ5キロの平均価格を発表しました。11月24日から30日までの期間における平均販売価格は4335円に達し、11月3日から9日までの記録である4316円を上回り、過去最高値を更新しました。この4335円という数字は、銘柄米からブレンド米まで、全てのコメの平均値です。
しかし、実際の消費者の感覚とは乖離があります。担当記者によると、都市部のスーパーでは5キロ5000円台のコメが圧倒的に多く、消費者は「高すぎる」と感じています。銘柄米の平均価格は5キロ4551円とされていますが、東京や大阪といった都市部では「4551円のコメなんて見たことがない」という声が多数を占めています。
都心で家族3人で暮らす50代の男性は、「複数のスーパーを回っていますが、5キロ5000円台のコメしか店頭にありません」と現状を訴えます。先日、たまたま5キロ3800円の国産米が特売で並んだものの、すぐに売り切れ、その後の入荷も未定だといいます。さらに、農林水産省の調査でブレンド米が3870円で売られているとされているにもかかわらず、ネットを含めてそうした安価なコメを見かけることがほとんどないのが実情です。一方で、カリフォルニア米は約3000円で常に安定供給されており、農薬への不安を抱えつつも、消費者は購入せざるを得ない状況にあります。
この状況は、鈴木農水相の「市場任せ」という方針が、果たして国民の生活実態に即しているのかという疑問を投げかけています。コメは日本人の食卓に欠かせない主食であり、その価格高騰は多くの家庭に直接的な影響を与えています。鈴木農水相が国民の不満にどう向き合い、どのような解決策を打ち出すのか、今後の動向が注目されます。
