経済産業省は、自然災害による停電復旧の費用を、全国の電力会社が相互扶助方式によって負担する新制度の創立を目指す。19日に開いた電力システム強靭(きょうじん)化に向けた有識者会合で示した。大規模な災害では、被害を受けた地域の電力会社に、全国の電力会社が応援に向かうが、その際の費用負担は曖昧な面があった。これに対し、事前に復旧費用を拠出しておくことで、資金面を担保する狙いだ。
新制度では大規模な災害のみが対象。停電解消までの他電力からの応援の人件費、電源車の燃料費や、他社の電源車を使って故障させたときの弁償費用などを想定している。加えて、電力会社以外の工事会社への仮復旧費用なども対象とする。ただ、被災エリアの電力会社には一定の自己負担を求める。
昨年の台風や豪雨、今年9月の台風15号、19号など、自然災害による大規模停電が多発する中で、送配電網を維持するには、エリアや電力会社単位での対策では不足すると経産省ではみており、電力各社による相互支援を進めるための制度改革に取り組む。