【香港に生きる】昼は銀行員、夜は姿を変えてデモ隊支援

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「身元が特定されたら困る」と、後ろを向いた銀行マン。これが今の香港だ

「身元が特定されたら困る」と、後ろを向いた銀行マン。これが今の香港だ

 11月のとある深夜、山の斜面に広がる香港中文大で途方に暮れていた。警察と学生たちの攻防戦を取材しようと駆けつけたものの、時間が遅くなって、帰る術を失ってしまったのだ。

 そんなとき、車で家まで送ってくれたのが、ベン(29)=仮名=だった。

 半年にわたって続く抗議活動は、無数の「家長」によって支えられている。家長とは抗議活動の支援者のことだ。若者らに資金・装備を無償で援助したり、隠れ家を提供したりと、その役割はさまざまである。

 ベンも家長の1人。デモ現場などに車で駆けつけては、警察に追われる若者らを拾って安全な場所まで運ぶ役割を果たしていた。

 「昼間は中環(セントラル)で働いている。銀行マンさ」。素性を明かした彼に後日、インタビューをした。夜遅い時間だった。

 --なぜ家長に?

 「罪滅ぼしの気持ちだよ。俺は抗議活動の前線に立てない。バレれば今の職を失う。クビにならなくても昇進はまず無理さ」

 今、外資系金融機関でファンドを担当している。

 「俺も含めて香港の中産階級は金をもうけることしか頭にない。魂が腐っていたんだ。それを目覚めさせてくれたのが今回の運動だよ。だから微力でもできることをしたいんだ」

 --家長の仕事で記憶に残っていることは?

 「7月21日、新界地区の元朗(げんろう)でのことかな。映画のシーンのようだった…」

 元朗ではこの日、デモ参加者が白シャツ姿の暴力団員らに襲われていた。ベンが車で駆けつけたとき、ちょうど3人の若者が、棒を振りかざした6、7人の白シャツ組に追いかけられているところだった。すぐに車を止めて「早く乗れ!」と3人を後部座席に収容し急発進、間一髪だった。

 「3人のうち2人は20代の恋人同士でね、警察が現場に現れなかったことにとても腹を立てていたよ。その若者が言うんだ。『カバンの中にはいつもナイフが入っている。必要になったら使うつもりだ』ってね」

 --香港人の学生は希望を失っている?

 「香港の銀行業界も今、香港人の学生を採用しない。中国本土出身の学生ばかり採っている。親兄弟の人脈に期待しているのさ」

 「でもね、デモは良い投資だと思うよ」

 --観光客は減ったのに?

 「もちろん短期的にはマイナスさ。しかしデモのおかげで不動産価格は下がってきたし、政府は市民の不満を減らそうと、ローンを申し込みやすくした」

 「それに、米国では香港人権民主法ができて、中国が香港に手を出しにくくなったじゃないか。デモは香港を良くしてくれるのさ」

 ベンはそう言って、残業で疲れた身体を引きずるようにして車に乗った。(香港 藤本欣也)

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