【東京記者ノート】池袋暴走事故 高齢者運転、大きな転換点に





東京都豊島区南池袋で起きた事故で、現場検証する捜査員ら=東京都豊島区(佐藤徳昭撮影)

 東京都豊島区東池袋で4月に発生した高齢ドライバーによる車両暴走事故では、何一つとして落ち度のない母子が死亡し、男女8人が重軽傷を負った。事故後、都内では運転免許証を自主返納する高齢者が急増。高齢者の免許制度を見直す法改正の道筋も示され、高齢ドライバー対策は大きな転換点を迎えようとしている。

 「生きていれば、誰もが老いる。だからこそ、多くの人がこの事故から切実に感じ取るものがあったのだろう」。事故直後の取材で、捜査関係者が口にした言葉が印象的だった。

 それを裏付けるかのように、事故後の法改正の流れの中で実施された警察庁の有識者分科会のアンケート(10代~70歳以上の男女2千人対象)では、現行の免許制度を「改善すべきだ」「見直すべきだ」とする意見が8割近くに上った。

 事故が発生したのは4月19日昼。旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)が運転する乗用車が赤信号を無視するなどして約150メートルにわたり暴走、横断歩道の歩行者らを続々とはねた。近所の松永真菜(まな)さん=当時(31)=と長女の莉子(りこ)ちゃん=同(3)=が死亡し、男女8人が重軽傷を負った。

 警視庁の捜査の結果、車は時速50キロから同90キロ台後半まで加速していたとされる。警視庁はブレーキとアクセルの踏み間違いが原因と結論付け、11月に飯塚元院長を自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で書類送検した。

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