NTTが、今年7月に開設した海外事業の統括会社で100人の人員整理を実施したことが23日、分かった。海外事業の収益改善を本格化する狙いで、人員の配置転換など世界で数千人規模の構造改革を今後、数年で実施する方針だ。NTTの澤田純社長が産経新聞のインタビューで明らかにした。
構造改革を実施するのはNTTリミテッド。平成22年に買収したIT大手のディメンション・データと傘下のNTTコミュニケーションズなどの海外事業部門を統合し、英ロンドンに設置した。従業員数は世界70の国と地域で約4万人に上る。
澤田氏は「重複部分を効率化して利益を上げる構造にする。構造改革でモノからサービスを売る営業体制にシフトする」と述べた。余剰人員の削減や配置転換などを進める考えで、英国の人員は現在の約3000人から約4000人に増やす。
NTTは、携帯電話事業のNTTドコモが収益の柱だ。ただ、国内の回線契約数は頭打ちのため、海外事業や新規分野の成長を重視しており、海外売上高を令和5年度に平成29年度比4割増の250億ドル(約2兆7000億円)に伸ばすことを目指している。構造改革はこの一環で、このほか次世代の通信技術で米半導体のインテル、米マイクロソフト、ソニーと連携するなど、海外展開を意識した協業体制を構築する。
一方、澤田氏は新規分野について、エネルギー事業子会社のNTTアノードエナジーが出資する新電力のエネットの売上高を令和7年度までに1千数百億円増加させる方針も示した。再生可能エネルギー分野に集中的に投資し、M&A(企業の合併・買収)も視野に入れる。
アノードエナジーは同年度に売り上げ規模6000億円を目指しており、同年度までに年間1000億円規模の投資を行うとしている。