アフリカ南部で干ばつ深刻 4500万人が食料不足





かつて水を地域に供給し続けた水源で、いまは干上がったマナプール国立公園=10月、ジンバブエ(AP)

 アフリカ南部で干ばつが深刻化し、農業が打撃を受けている。国連によると、ジンバブエやザンビアなど16カ国の約4500万人が食料不足に直面、うち9カ国の1100万人以上が危機的状況だ。インフレなど経済難に陥る国もあり、貧しい住民の生活を直撃している。

 ジンバブエとザンビアにまたがる世界三大瀑布、ビクトリアの滝も水量が激減。水場がなくなり多数のゾウが死ぬなど、野生動物にも影響が出ている。

 「過去35年間で最悪の干ばつが起きている。緊急支援が必要だ」。世界食糧計画(WFP)の幹部は、雨がほとんど降らず農作物に壊滅的な被害が出ていると指摘した。一部地域ではサイクロンによる大雨で農地が流失するなど、ほかの異常気象も報告されているという。

 かんがい設備が不十分な小規模農家が多く、収穫は天候に左右されやすい。ジンバブエの農家の女性は中東の衛星テレビ、アルジャジーラの取材に「食べ物がない。おなかがすいた」と訴えた。カボチャの葉を1日1回食べるだけだという。

 政府の失策も食料不足の一因だ。ジンバブエでは政情不安を背景に外国からの投資が停滞。外貨不足で農作物を輸入できていない。ジンバブエ中央銀行によると、2019年11月の物価は同年2月に比べ5倍近くになった。貧困層の住民は困窮する一方だ。(共同)



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