地球温暖化防止の枠組み「パリ協定」に黄信号がともった。協定の実施ルールづくりを目指し、スペインで行われた国連気候変動枠組み条約の第25回締約国会議(COP25)。二酸化炭素など温室効果ガスの削減目標について強い姿勢を示せず、技術支援による途上国での削減分を計上する方法も決まらなかった。積極的な温暖化対策を訴える欧州連合(EU)や島嶼(とうしょ)国と、中国やインドといった排出大国の溝は深い。
◇
□フランス ルモンド
■大会議に疑問符 EU奮起を
フランス紙ルモンドは17日付の社説で、COP25では「著しい前進がなかった」と嘆き、約190カ国・地域が地球温暖化対策で合意を目指す会議のあり方に疑問を呈した。
社説は「中国やインド、米国、オーストラリア、ブラジルといった大排出国は自国の流儀を崩さず、政治的重みを欠く議長国チリの提案をことごとく弱めた」と批判した。そのうえで、「大山鳴動してねずみ一匹という大会議は、目標に対して逆効果ではないのか。会議の失敗は世論の失望を招き、疑念を広げないだろうか。明確な成果がなく、どうせだめだという宿命論のワナに陥れば、まさに最悪の事態だ」と警告した。
一方で、社説は「希望」として、EUの欧州委員会が発表した「欧州グリーンディール」を挙げた。2050年までに温室効果ガス排出を「実質ゼロ」にする目標を掲げたこの政策で「期待外れのCOP25を忘れ、将来を考えなければならない」とEUに奮起を促した。
13日付仏経済紙レゼコーは、温暖化対策に消極的な国として「化石賞」に選ばれた日本の背景を伝えた。
日本では「環境意識が向上しておらず、政府や経済界への世論の圧力も弱い」ことに加え、政府が途上国の石炭火力発電所の建設支援に熱心だと指摘。バングラデシュやベトナムを例にとり、背景には「中国に対抗し、外交上の影響力を強める」狙いがあると論じた。東京電力福島第1原発の事故後、日本の電力会社には石炭火力に頼らざるを得ない事情があるとも伝えた。