【香港=藤本欣也】混乱が続く香港で1日、香港政府と中国共産党に抗議する大規模デモが行われた。新年早々にもかかわらず、子供から高齢者まで数多くの市民が参加し、民主的な選挙の実現などを求めた。数十万人規模との見方も出ている。
昨年11月の選挙で当選を果たし、1日に任期がスタートした民主派の区議会(地方議会)議員らも多数参加した。
デモ隊は午後2時半(日本時間同3時半)すぎ、香港島のビクトリア公園を出発し、政府本部庁舎にも近いビジネス街の中環(セントラル)を目指した。
妻と一緒に参加した銀行員の男性(33)は「市民の声に耳を傾け、市民の声を尊重する政府が必要だ」と述べ、行政長官選などに直接選挙を導入するよう求めた。
生後7カ月の男児を抱いて参加した男性(30)は「この子には自由と民主のある香港を残したい。それは、市民が法律に守られ、警察にコントロールされない香港です」と話した。クラスメートたちと参加した女子中学生(14)は「(デモ隊が掲げる)5大要求を認めてほしい」と政府に求めたが、その実現性については「政府の後ろに中国共産党がいる限り、難しいと思います」と語った。
年末年始の休暇を利用し、一家4人でデモに参加した米サンフランシスコ在住の男性(49)は「ずっとテレビで香港のデモを見ていた。『一国二制度』は中国によって破壊された。香港は民主を取り戻さないといけない」と話した。
この日の元日デモを主催したのは、民主派組織の連合体「民間人権陣線(民陣)」だ。昨年6月9日の「103万人」(民陣発表)、同16日の「約200万人」(同)のデモ行進を主催したことで知られる。
香港では、デモ・集会を行う際には事前に警察の許可が必要となる。当局は今回、デモを許可したことから、合法的なデモとして実施された。
昨年12月8日にも民陣主催のデモが行われたが、そのときは民陣の発表で80万人が参加している。
香港の元日デモは毎年行われているもので、1年前の2019年の参加者は主催者発表で5500人にとどまった。今年は抗議活動の高まりを受けて、大規模なデモ行進となった。