米国とイランの軍事的衝突への懸念から6日の東京市場は大荒れとなった。原油高が進めばガソリンなど石油製品の価格に転嫁され家計の重しとなり、円高ドル安が米中貿易摩擦で打撃を受けた輸出企業に追い打ちをかけるなど、日本経済への悪影響が懸念される。
「イランをめぐる緊張が一段と高まるだろう。海外情勢に警戒が必要だ」
日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は6日、東京都内で開かれた業界団体の賀詞交換会でこう指摘した。ニューヨーク株式市場の主要指標が過去最高値を更新するなど楽観ムードが広がった昨年末から一転、株安、円高、原油高のトリプルパンチがおとそ気分を吹き飛ばした。
1990年8月の湾岸危機時にも、株価の急落や原油価格の高騰などの“湾岸ショック”が起きており、中東情勢の緊迫化に対する経済界の不安感は根強い。
当面懸念されるのが原油価格の動向だ。ホルムズ海峡を航行するタンカーへの攻撃などで、日本が原油の8割超を頼る中東からの供給に支障が出る可能性がある。また、石油輸出国機構(OPEC)などの産油国が今月から減産を強化して需給も引き締まるため、油価はさらに上昇しそうだ。
石油元売り大手のJXTGエネルギー、出光興産などによると、現時点では中東からの原油調達には障害は出ていないとしている。また、各社ともに、中東地域を含めた出張自粛などの取り組みは行っておらず、情報収集を進めている。