対立抗争を続けている指定暴力団の山口組と神戸山口組について、兵庫、大阪、京都、愛知、岐阜、三重の6府県の公安委員会は7日、暴力団対策法に基づく「特定抗争指定暴力団」に指定したことを官報で公示した。両組織の活動は大幅に制限され抗争に歯止めがかかると期待されるが、いずれも傘下組織が全国に広がっており、効果は未知数。警察当局は指定の長期化などを視野に警戒を続ける。
各公安委は組事務所などがある神戸市、兵庫県尼崎市、同県姫路市、同県淡路市、大阪市、大阪府豊中市、京都市、岐阜市、名古屋市、三重県桑名市の6府県10市を「警戒区域」に指定。区域内では、おおむね5人以上の組員が集まる▽対立組織の事務所付近などをうろつく-などの行為が禁止され、警察は違反すれば即逮捕できる。効力は3カ月だが、市民が危害を加えられる恐れがなくなったと判断されるまで何度も延長できる。
指定は、平成24年12月の道仁会(福岡県)と九州誠道会(同県、現浪川会)に次いで2例目。この両組織の間では死者10人以上を出す抗争が続いていたが、指定以降は収束。1年半後に解除された。
ただ、両組織の勢力が九州に集中していたのに比べ、30年末時点で山口組の傘下組織は43都道府県、神戸山口組は32都道府県に広がる。拠点を警戒区域外に移す動きもあるといい、警察当局は今後、警戒区域の追加指定も検討するとみられる。