首都圏で昨年8月以降、コインランドリーのチェーン店で次々と精算機が破壊されて現金が奪われる窃盗事件が相次いだ。犯行グループは公式ウェブサイトで店舗内の稼働状況をリアルタイムで把握し、無人の店舗を狙って犯行に及んでいた可能性があるという。内部に現金が蓄積されるICチャージ機のある店舗を集中的に狙ったとみられ、最新式のコインランドリーが標的となった格好だ。
損害は2億円超
連続窃盗の被害が起きたのは、コインランドリーチェーン「ピエロ」。運営会社「センカク」(東京都新宿区)によると、昨年8月24日~10月2日に、東京、神奈川、千葉、埼玉の4都県の計37店舗で、ICチャージ機や両替機が破壊されて中の現金が盗まれる被害が52件発生した。
これまでに売上金約1000万円の被害に加え、機器の修理代などで2億円超の損害が出ているという。
被害店舗の防犯カメラには、3人組の男女グループが役割を分担し、6分間ほどの間にICチャージ機を破壊して現金を盗む姿が克明に記録されていた。帽子とマスクで顔を隠した作業着姿の男が入店し、ICチャージ機のL字型ロックを電動工具で切断すると、即座に別の男が入れ替わり、バールでパネルをこじ開けて現金回収箱を窃取。他の店舗のカメラには、店の外で見張りをする女の姿も写っていた。
神奈川県警は12月4日、横浜市西区の店舗で9月に両替機をバールでこじ開けて現金約23万円を盗んだとして、窃盗容疑で無職の男(43)=同罪で起訴=を逮捕。防犯カメラに写っていた犯行グループのメンバーの可能性もあるとみて、事件の全容解明を進めている。
同じ店舗を「狙い撃ち」
同社では、1年半ほど前から一部店舗でICカード式の精算システムを導入。ICチャージ機はカードに金額を充当するのに必要な機器だ。担当者は「ICチャージ機は両替機と違って内部の現金が増えていくため、犯行グループの標的となった可能性が高い」と話す。