吉沢亮主演『国宝』邦画実写歴代最高収益を更新!TAMA映画賞で2年連続最優秀男優賞の快挙

映画『国宝』が、公開172日間で観客動員1230万人超、興行収入173.7億円という驚異的な数字を記録し、邦画実写作品の歴代最高興収を22年ぶりに更新しました。これまでの記録保持作であった『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年/173.5億円)の記録を塗り替える快挙です。主演を務めた吉沢亮は、この快挙に加え、11月15日に開催された「第17回TAMA映画賞」の授賞式で最優秀男優賞を受賞。昨年も『ぼくが生きてる、ふたつの世界』で同賞を受賞しており、女優賞を含めても同映画賞史上初となる2年連続での最優秀男優賞受賞という偉業を成し遂げました。

映画『国宝』とは?吉沢亮の圧倒的な演技

『国宝』は、吉田修一氏が2018年に発表した同名小説を、李相日監督が圧倒的な映像美で映画化した作品です。任侠の一門に生まれながら歌舞伎の世界に飛び込んだ主人公・喜久雄(吉沢亮)が、芸の道に人生を捧げ、やがて“国宝”と呼ばれる存在へと至るまでの壮絶な一代記を描いています。吉沢亮は、義兄弟役の横浜流星とともに、四代目中村鴈治郎のもとで約1年半にも及ぶ厳しい稽古に励み、この難役に挑みました。

映画『国宝』主演、最優秀男優賞を受賞した吉沢亮映画『国宝』主演、最優秀男優賞を受賞した吉沢亮

約3時間の超大作である本作は、観客の集中力を途切らせることなく引き込みます。喜久雄は、あらゆるものを犠牲にし、関わる人々を傷つけ、その反動で自身も深く傷つきながらも、ただひたすらに“美”を追い求める狂気的な役柄です。吉沢亮は、その狂気を命を削るような熱演で見事に体現し、観る者は一瞬たりとも目を離すことができません。観客は「共感」や「応援」という感情を超え、気づけば涙が溢れているという稀有な体験をし、まさに心が震える感動を味わうことになります。

「国宝級イケメン」吉沢亮が抱える苦悩と役者魂

劇中には、喜久雄が田中泯演じる人間国宝の歌舞伎役者・万菊から「役者になるんだったら、その美しいお顔は邪魔も邪魔。いつかそのお顔に自分が食われちまいますからね」と言われる象徴的なシーンがあります。このセリフは、喜久雄と吉沢亮自身の人生がシンクロしているかのように響きます。吉沢亮は誰もが認める端正な顔立ちの持ち主ですが、10代から20代の頃は、その顔の印象が強すぎて、真っ直ぐに芝居を見てもらえないことに深く苦悩していたと明かしています。

映画『国宝』公開後の6月20日に出演したトーク番組『スイッチインタビュー』(NHK Eテレ)でも、彼は「役作りで無駄に太ってみたり、芋っぽく見せることにすごく注力している時期」があったと語っています。吉沢亮の「国宝級イケメン」と呼ばれる容姿は、時に役者としての彼の表現を妨げる壁となることもあったのです。しかし、その苦悩を乗り越え、真摯に演技と向き合い続けた結果が、今回の映画『国宝』での圧巻の演技と、2年連続での最優秀男優賞受賞という快挙に繋がっています。

吉沢亮は、自身の美しい容姿を「邪魔」とすら感じながらも、演技への情熱と探求心でその壁を乗り越え、芸の道を極める喜久雄と自身を重ね合わせ、観る者に深い感動を与えました。彼の俳優としての真摯な姿勢と、作品への計り知れない貢献は、今後も日本の映画界に大きな影響を与え続けることでしょう。