《相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で平成28年、入所者ら45人を殺傷したなどとして、殺人罪などに問われた元職員、植松聖(さとし)被告(29)の裁判員裁判の初公判は検察官の冒頭陳述を終え、弁護側の陳述に入る。午前の公判で暴れた植松被告は不在のままで、弁護人が植松被告の生い立ちなどを語っていく》
弁護人「植松さんの犯行の事実は争いません。大変痛ましく、重大な事件でもあります」
《弁護人はこう切り出すと、裁判員を見据え呼びかけた》
弁護人「どうしても腑(ふ)に落ちないことがあります。植松さんはなぜ、どうして、このように重大なことをしたのか。(植松被告の)責任能力を取り上げたいと思います」
《弁護側は、植松被告が常用していた大麻の影響を指摘した。大麻精神病によって、善悪の判断や行動ができなかったとし、責任能力を否定した》
弁護人「何らかの精神障害が犯行に影響を与えたと判断していただく必要があります。そのためには、本来の植松さんがどんな人かを、幼少期までさかのぼって知る必要があります」
《弁護側は、植松被告の生い立ちを語りだした》
弁護人「幼稚園では、素直で手がかからない子として育ちました。明るく優しい性格でもありました。小学校時代は、勉強は苦手ですが、明るく人懐こい性格で、クラスに知的障害を抱えた同級生がいても、優しく接していました」
弁護人「中学校に進学しても、明るい性格は変わりませんでした。バスケットボール部に入部し、当たり前の生活を送っていたのです。中学3年のころに飲酒・喫煙をしましたが、特に非行歴などはありませんでした」
弁護人「高校でも明るい性格で、1、2年生の時にはバスケ部に入部し、熱心に活動していました。教師を目指し、私立大学の文学部に進学します。学生生活を楽しむ一方、脱法ハーブに手を出し、入れ墨を入れたりしました。半面、学童保育で知的障害児の面倒を見るなど、周囲とのトラブルもありませんでした」