【ワシントン=塩原永久】世界銀行は8日、経済見通しの最新版を発表し、2020年の世界全体の実質成長率を2・5%と予測した。米中貿易摩擦などが足を引っ張り、19年6月の前回予測から0・2ポイント下方修正した。中国の成長率を5・9%とし、6%割れを想定。日本は0・7%で据え置き。ユーロ圏は1・0%と0・4ポイントの大幅な下方修正となった。
世界全体の21年の成長率は2・6%と0・2ポイント引き下げた。貿易摩擦が先進国の投資と貿易を下押ししており、世銀は「下振れリスクが依然大きい」(統計担当者)との見方を示す。
米中両国が「第1段階」の貿易合意に達し、米国は対中関税の一部低減を表明した。世界経済にはプラスの影響が予想されるが、20年は「全体的には小幅な成長」(同)にとどまる。
20年の世界貿易の伸び率は1・9%と、前回予測より1・3ポイント引き下げた。21年は2・5%に盛り返す。
各国・地域別では、日本は、昨年10月の消費税率引き上げを受けた景気対策が奏功し、20年は0・7%の成長率を維持する。21年は0・6%に減速。両年とも前回予測を据え置いた。
米国は20年を1・8%、21年を1・7%とし、それぞれ0・1ポイント引き上げた。大型減税の効果が減衰するものの、昨年3度の利下げをした米連邦準備制度理事会(FRB)が低金利を維持し、経済を下支えする。
中国は20年に5・9%、21年に5・8%とそれぞれ0・2%引き下げた。内需が勢いを欠き、貿易摩擦も影響する。ユーロ圏は20年に1・0%と0・4ポイントの下方修正。21年は1・3%と据え置いた。