【北京=三塚聖平】中国国家統計局が9日発表した2019年12月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比4・5%上昇した。伸び率は、7年10カ月ぶりの高水準となった11月(4・5%)から横ばいだった。アフリカ豚コレラ(ASF)の感染拡大による豚肉価格の高騰が主な要因だが、食品価格の上昇率は17・4%と11月(19・1%)からは縮小した。
19年通年のCPIは前年比2・9%の上昇だった。中国政府は19年のCPIの上昇率について3%前後を目標としていた。
12月の豚肉価格は前年同月比で97%上昇した。これだけでCPIを2・34ポイント押し上げている。前月比では5・6%の減少となり、11月の3・8%上昇から落ち着きを見せている。統計局は「豚肉供給の逼迫(ひっぱく)状況はさらに緩和された」との見解を示した。
中国政府は、豚肉価格安定に向けた対策をここ数カ月重点的に打ち出してきた。中国の食卓を支える食材である豚肉の価格高騰が続けば庶民の不満が高まるため、とりわけ春節(旧正月)を前に神経をとがらせているとみられる。
一方、同日発表した19年12月の工業品卸売物価指数(PPI)は、前年同月比で0・5%下落した。6カ月連続のマイナスだが、下落率は11月(1・4%)から縮小した。米国との貿易摩擦の影響が続いているとみられる。19年通年のPPIは前年比0・3%の下落だった。