1966年の「ル・マン24時間レース」で、米フォード社が伊フェラーリ社を下し、米国車として初優勝を飾った実話に基づく。買収の失敗という因縁を背景にレースに参加するフォード。打倒フェラーリの命題を背負わされ、組織に翻弄されながらもレース車の開発とスピードに命をかけるカー・デザイナーと破天荒なレーサー。2人の男の仕事にかける情熱と固い友情。熱い物語は、さながら池井戸潤原作ドラマの米国版だ。
マット・デイモンとクリスチャン・ベイルの初共演。主だった女優はカトリーナ・バルフしか出てこないが、不思議と男臭さや汗臭さは感じない。映像は一貫して美しく、かつ繊細でセンスにあふれる。家族愛もしっかりとつづり、ラストで観客の涙を誘う。ジェームズ・マンゴールド監督の力量か。
実話なので書いてしまうが、ベイル演じるレーサーは後に試走中の事故で亡くなる。レース版の「ボヘミアン・ラプソディ」だと思えば、山場のル・マンの場面がさらに熱い。
10日から東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田などで全国公開。2時間33分。(健)
★★★★(★5傑作 4見応え十分 3楽しめる 2惜しい 1がっかり ☆は半分)