【五輪後の日本経済】「緩やかに落ち込む」 NTT 澤田純社長





インタビューに応じるNTTの澤田純社長=東京都千代田区

 --東京五輪・パラリンピック後の景気動向をどうみるか

 「米中貿易交渉で第1段階の合意や英国のEU離脱協定法案が可決されるなど、明るい兆しはあるが、情勢は本質的には何も変わっていない。景気後退の傾向は続く。ただ、受注状況からみると、急激に落ち込むということはない。緩やかに落ちるのではないか」

 --懸念材料はあるか

 「昨年10月の消費増税の影響がどう出るかだ。今のところは設備投資への影響は見えていないが、どうなるか。設備投資がしぼむとなれば、日本経済全体が下がることになりかねず、日本だけ冷えるということにもなりかねない」

 --どう挽回するか

 「私は楽天家なので、5Gがトリガーになって、明るい先行きになると期待している」

 --現在の事業環境は

 「デジタル化で時代が急速に変わっている。グローバリズムが終焉(しゅうえん)を迎え、ナショナルセキュリティーへの意識が高まっている。さらに環境問題への対応も急務だ。日本経済は袋小路に入っているといわれるが、産業競争力を高めるいい機会になる。社会の革新が求められる時期にきており、NTTとしてもデジタル化で貢献できる」

 --次世代通信網の構築でソニーや米インテルと連携、米マイクロソフトとも提携を発表した

 「(米国の巨大ITの)GAFAの台頭に危機感があり、リーダーシップをとっていく必要がある。日本にとっても、世界にとっても、時代の変曲点になるかもしれない」

 --GAFAと対立は激化するか

 「GAFAと常に競合するというわけではない。ドコモは米アマゾンと提携している。顧客関係にある企業もある。オープンな形で協力していくことが、分断化社会に対する答えの一つにもなる」

 --米中対立への対応は

 「NTTデータが米連邦政府を顧客に持っている。そのため、米国で規制された中国企業の製品を扱うことができない。米国の法律がグループ全体に適応され、華為技術(ファーウェイ)排除はせざるを得ない。問題は香港だ。中国政府の規制が強まれば、数百億円規模の事業が影響を受ける」

 --事業上の課題は

「海外市場で利益を出す構造に変革しないといけない。さらに国内では第5世代(5G)移動通信システムが一つのキーワードになる。日本全体の産業の浮上につながるとみている」

 --自然災害も多発している

 「東京のバックアップを強め、復旧する力を強化する」(経済本部 高木克聡)



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