【カイロ=佐藤貴生】イランがウクライナ旅客機の誤射を認めた事件で、犠牲になった乗客が多かったカナダやウクライナの政府は15日、イランが回収した旅客機のフライトレコーダーとボイスレコーダーの解析に関与させるよう相次ぎ求めた。ロイター通信が伝えた。旅客機にミサイル2発が相次いで発射され撃墜されたとする新たな動画を米紙が公開したのを受け、事実確認を求めるイランへの圧力が強まりそうだ。
カナダの航空事故調査の専門家らは15日、イランの首都テヘランの事故現場を訪れたが、カナダ政府高官は旅客機のフライトレコーダーとボイスレコーダーの解析には関与できていないと述べた。
ウクライナの司法当局者も同日、解析へのアクセスを求めたのに対し、イラン側から公式な返事を得ていないと明かした。ウクライナ国内に解析できる環境があるかを調べるため、同国を訪問する予定だったイラン側の調査担当者は来ていないという。
旅客機はイランによる撃墜で乗客乗員176人全員が死亡した。16日には犠牲者が出たカナダやウクライナ、英国などの外相らがロンドンに集まり、イラン側に対する法的措置などを協議する見通しだ。