主張変更、判決延期に被害家族ら怒り「許せない」 大津園児死傷事故


 大津市の交差点で昨年5月、保育園児らの列に車が突っ込んで16人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)などの罪に問われた新立(しんたて)文子被告(53)が、判決が言い渡される予定だった16日に突然、起訴内容の一部について争う姿勢に転じた。被害に遭った園児の家族らからは「判決当日になってやり直したいと言い出す被告に振り回され、本当に疲れている」「許せない」などと怒りの声があがった。

 新立被告はこの日の被告人質問で、昨年12月に民放のインタビューで「事故の時に(直進車が)減速、ブレーキをしていれば」などと公判と異なる主張をしたことについて「百パーセント、自分が悪いということに納得がいかない部分があった。本当の気持ちを伝えたかった」と述べた。

 これに対し、事故の犠牲になった園児の父親らは意見陳述で、「心から反省しているなら、他の原因を探ることはできないはず。全く反省していない」などと新立被告を強く非難した。

 さらに、新立被告が、これまで認めていた併合審理されたストーカー規制法違反罪などの起訴内容について争う姿勢を示すなど、あいまいな主張に終始したため、何度も休廷。異例の判決言い渡し延期を決めた大西直樹裁判長は新立被告に対し、「今までも時間があり、十分に弁護士と話し合うことができたはずで残念だ」と注意した。

 この日の公判には、園児の両親や保育士ら15人が被害者参加制度を利用して参加し、閉廷後に代理人を通じてコメントを発表。「何かしら言い訳をして刑を軽くしようとしている」「口では被害者や遺族に対して悪いと言っているが、自分も被害者で運が悪かったと思っている」と新立被告への怒りをあらわにした。

 代理人も「主張を覆すということはこれまで『反省している』と言っていたことが真意ではなく、訴訟戦略に過ぎなかったということだ」と厳しく批判した。

 起訴状によると、新立被告は昨年5月8日午前、大津市内の交差点で注意を怠ったまま右折し、対向車線を直進してきた軽乗用車に衝突。弾みで軽乗用車が歩道で信号待ちをしていた園児らの列に突っ込み、園児2人を死亡させたほか、14人に重軽傷を負わせたとしている。また、同8月末から9月上旬にかけて、出会い系サイトで知り合った男性に連絡を取るよう、しつこく迫るなどのストーカー行為をしたとしている。

 直進した軽乗用車の女性も自動車運転処罰法違反で書類送検されたが、法定速度以下で青信号を進み、前方不注視もなかったとして不起訴処分とされた。



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