日本銀行は21日、金融政策決定会合を開き、2%の物価上昇目標達成に向け短期金利をマイナス0・1%とし、長期金利を0%程度に誘導する大規模金融緩和の維持を決めた。併せて公表された今後3年間の経済と物価の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、物価見通しを原油価格の下落を理由にわずかに引き下げた。
公表文には物価上昇の勢いが失われた場合は「躊躇(ちゅうちょ)なく、追加的な金融緩和措置を講じる」との文言は残し、追加緩和に前向きな姿勢は崩さなかった。
展望リポートでは、令和元年度の物価見通しを0・6%、2年度を1・0%、3年度を1・4%と前回の昨年10月のリポートから0・1ポイントずつ下方修正。経済成長率の見通しは、政府の経済対策などを踏まえ元年度が0・8%、2年度が0・9%と0・2ポイントずつ引き上げ、3年度も1・1%と0・1ポイント引き上げた。
米中貿易摩擦による海外経済の冷え込みは国内景気を直撃している。直近1月の地域経済報告(さくらリポート)では、米中貿易摩擦を受け輸出や生産が弱含んだことを主な要因に、北陸など3地域で景気の総括判断を引き下げた。
ただ、米国と中国は貿易協定の「第1段階」の合意を迎えており海外経済の下振れリスクも幾分か改善されるとの期待もある。会合では、貿易摩擦の行方や中東での地政学的リスクの高まりなど世界経済の不確実性について点検した。
21日午後に開かれる記者会見で、黒田東彦(はるひこ)総裁が今後の物価情勢や政策運営についてどのような見通しを示すか注目される。