日活のアクション映画で“エースのジョー”の愛称で人気を呼び、テレビでも活躍した俳優の宍戸錠(ししど・じょう)さん=本名同じ=が死去したことが21日、警視庁などへの取材で分かった。86歳だった。葬儀・告別式の日取りや喪主は未定。
同庁などによると、宍戸さんは21日未明、自宅で死去している状態で見つかった。事件性はないという。
宍戸さんは大阪市出身で、日大芸術学部演劇科在学中の昭和29年、日活が募集した第1期ニューフェイスに合格し、大学を中退して映画界入りした。
翌年、「警察日記」の若い巡査役で本格デビュー。細面の二枚目だったが、豊頬(ほうきょう)整形手術を受けて不敵な面構えに。膨らんだ頬をトレードマークに悪役に挑戦し、小林旭さん主演「渡り鳥」シリーズでのきざな殺し屋など、アクション映画の敵(かたき)役で人気を集めた。
36年、「ろくでなし稼業」で初めて主演を務める。陽性のアクションスターとして「メキシコ無宿」「抜き射ち風来坊」など、また鈴木清順監督「野獣の青春」「殺しの烙印」などでは男の哀愁もにじませた。一方で、日本テレビ系「巨泉×前武のゲバゲバ90分!」「くいしん坊!万才」などで、コメディアンとしての才能も発揮した。
このほか、「仁義なき戦い・完結編」「瞳の中の訪問者」「我が人生最悪の時」などの映画のほか、テレビドラマにも多数出演した。
平成13年には「普通の老人の顔になりたい」と、ほおに詰めたシリコンの摘出手術を行った。
妻は元日活女優でエッセイストの宍戸游子(ゆうこ)さん、弟は俳優の郷(ごう)●(=金へんに英)治(えいじ)さん、長男も俳優の宍戸開(かい)さん。
著書に「シシド~小説・日活撮影所~」。