日銀総裁会見詳報「下振れリスクは依然大きい」





金融政策決定会合後に記者会見する日銀の黒田総裁=21日午後、日銀本店

 日銀は21日、金融政策決定会合を開き現行の金融緩和策の維持を決めた。会合後の記者会見で、日銀の黒田東彦総裁は米中貿易摩擦などの海外経済の下振れリスクについて「依然として大きい」との考えを示した。会見での主なやり取りは次の通り。

--米中貿易摩擦や中東情勢など世界経済の下押しリスクについての評価は

 「米中通商交渉の第1段階の合意、英国のEU(欧州連合)離脱問題の進展などにより一頃よりリスクは幾分低下している。ただ、米中両国間には対立点が残り、第2段階の合意に向けた道筋はまだ不透明。中東情勢をめぐる地政学的リスクも高まっている。新興国、資源国経済の動向などにも引き続き注意が必要で、下振れリスクは依然として大きい」

--スウェーデンの中央銀行が先月、まだ物価上昇率が安定的に2%に到達していない段階でマイナス金利を解除した。これをどう評価するか。日銀が2%にこだわる理由は

 「スウェーデンの物価上昇率はターゲットである2%に近い水準で推移しているし、経済活動も望ましい状況にある。先進国中銀が2%の物価安定目標を目指している中、長い目でみた為替レートの安定にも資するだろうと、わが国も2%の目標としている。低金利が長期化する場合の副作用に留意は必要だが、現時点では、政策の効果がコストを上回っている」

--マイナス金利は家計にも痛みを強いる

 「マイナス金利を含めた低金利環境が長期化すると、実質所得が下押しされるということを通じて家計に一定の影響を及ぼす。他方、金融緩和の効果は、経済全体に及ぶ。金利低下が経済活動を刺激して雇用・所得環境の改善などを通じて家計全体にとってプラスの効果がある。当然、低金利環境には注意が必要だが、マクロ経済の改善を通じてメリットが国民全体に及ぶように金融政策運営に努めるという考え方だ」

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