【トランプ弾劾】裁判、ボルトン氏ら尋問めぐり12時間超す駆け引き






 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる上院の弾劾裁判の本格審理が21日始まった。トランプ氏と与党の共和党が月内にも無罪評決を出して幕引きを図りたいのに対し、野党の民主党は新たな証人を呼んで疑惑の徹底追及を目指す考え。トランプ氏が再選を目指す11月の大統領選を控え、与野党の対決が先鋭化するのは必至だ。

 共和党のマコネル上院院内総務は裁判の進め方に関する決議案を提出。採決は22日未明に行われ、賛成多数で可決した。審理は12時間超の論戦となった。

 決議によると、検察官役の下院民主党議員団とトランプ氏の弁護団は、意見陳述の機会をそれぞれ24時間与えられる。当初の決議案は陳述を最長4日間で終わらせるとしていたが、「日程を詰め込みすぎ」との批判が与野党から上がり、6日間に延長された。

 裁判での焦点の一つは、ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)やマルバニー大統領首席補佐官代行ら疑惑の核心を知りうる立場にある証人尋問が実現するかだ。民主党は決議案に証人招致を含めるよう修正を求めたが、共和党の反対で否決された。

 証人尋問を実施するかどうかは、22日から始まる意見陳述の後、上院議員による16時間にわたる双方への質問を経て採決される。

 尋問には過半数の賛成が必要だ。上院(定数100)の現有勢力は共和党53人、民主党系47人。共和党の穏健派議員の少なくとも4人は証人尋問を排除しない立場で、民主党は証人尋問で同氏に不利な証言を引き出し、「罷免は極めて困難」とみられる形勢の逆転に望みをつないでいる。

 トランプ氏の罷免には陪審員役を務める上院議員の3分の2の賛成が必要だ。大統領が弾劾裁判を受けるのは史上3人目。



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