政府は22日発表した1月の月例経済報告で、景気全体の判断について「輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増しているものの、緩やかに回復している」として前月から据え置いた。一方、内閣府の景気動向指数で機械的に導き出される基調判断は今月10日発表された昨年11月分まで4カ月連続で景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」となっており、両者の方向性が食い違う状態が続いている。
月例報告は、政府としての正式な景気認識。個別項目の判断では、設備投資を前月の「機械投資に弱さもみられるが、緩やかな増加傾向にある」から「緩やかな増加傾向にあるものの、一部に弱さがみられる」として8カ月ぶりに下方修正した。国内企業物価は「このところ横ばいとなっている」として表現を変えた。
昨年10月の消費税増税後の動きが注目される個人消費は2年1カ月連続で「持ち直している」とした。
一方、海外経済に関しては、中国経済の判断を上方修正。「緩やかな減速が続いている」との認識は維持したが、製造業の一部に下げ止まりの兆しもあるとして、前月までの「製造業を中心に一段と弱い動きがみられ」との表現を削った。
月例報告の景気判断では平成30年1月から「緩やかに回復している」との表現を続けている。宮下一郎内閣府副大臣は22日の記者会見で「回復基調にまだあるという認識は変わらない」と強調。ただ、民間エコノミストからは景気拡大局面が既に終わっている可能性を指摘する声も聞かれる。
月例報告の景気判断と景気動向指数の基調判断のずれについて、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「国内総生産(GDP)が令和元年に入ってから実質ベースで年率2%前後の成長を続けるなど、強い経済指標もあるため、景気後退局面に入っているとは言い切れないということではないか」と指摘する。宮下副大臣も会見で「(月例報告では)さまざまな指標を総合判断している。GDPが安定的に増加しているというのが一番大きい」と話した。(森田晶宏)