2月14日のバレンタインデーに向けた商戦で、新たな潮流が起きている。好きな人にあげていたチョコレートを友人や親しい人、自分用に購入するという流れが定着し、バレンタインを「チョコを楽しむイベント」と位置づける意識が強まっているからだ。百貨店は、売り場の娯楽性を高めたり、その場でチョコを食べられるコーナーを設けたりして、商機をとらえようと躍起になっている。(手塚崇仁)
松屋銀座(東京都中央区)は欧州最大級のチョコの祭典「ユーロチョコレート」を関東初誘致。目の前で大きなチョコの塊をハンマーでたたき割って、自分の好きな分量を購入する方式で会場を盛り上げる。
高島屋の目玉は横浜、新宿、日本橋の各店に設置された回転すし風の巨大レーン「パフェ ゴー ラウンド」。レーンに乗って運ばれるスポンジやアイスクリームなどを組み合わせ、オリジナルパフェを作ることができる。
三越日本橋本店(東京都中央区)は、イートインを会場の中心に据え、来場者の食欲を刺激する。その場で温かいワッフルやホットサンドが食べられるようにしたり、提供するスイーツの品ぞろえを増やしたりした。鼻で吸う「嗅ぎたばこ」風のチョコも用意し、物珍しさによる集客も目指す。
高島屋とロイヤリティマーケティング(東京)は今月、バレンタインに関する意識調査結果を公表。「チョコの祭典」と答えた女性の割合が26・5%と最多だった一方、「好きな人に思いを伝える日」との回答は10・4%にとどまった。チョコを購入する場所の特性として重視されていたのは、「じっくり選べる」「いろいろなブランドの商品を扱っている」ことだった。調査結果からは、時間をかけて自分のお気に入りのチョコを見つけることを楽しむ傾向が見て取れる。
松屋の担当者は、「この時期は、いつもは百貨店に来ないような顧客も足を運んでくれる」と話す。バレンタインの位置づけが変わっても、百貨店などにとっての一大商機であることは変わりがないようだ。