【北京=西見由章】新型コロナウイルスによる肺炎の発症者が拡大していることを受け、中国の旅行業界団体は25日、当局の指示に基づき27日から海外旅行を含む全ての団体旅行を一時停止すると発表した。航空券と宿泊を合わせた予約サービスも一時停止することで、国内外の個人旅行も一部制限する。
中国国内での団体旅行は24日に一時停止された。24日から春節(旧正月)の大型連休が始まったばかりで、日本への観光客にも影響が出そうだ。
中国共産党機関紙、人民日報によると、25日夜までに新型コロナウイルスによる肺炎の発症者は中国本土で1362人、死者は41人に上った。当局が原因不明の肺炎の発生を昨年末に公表してから1カ月足らずで1千人を超えた。
中国ではチベット自治区を除く全ての省・自治区・直轄市で発症者が出た。習近平国家主席は25日、共産党最高幹部の会議で「感染の蔓延(まんえん)が加速する深刻な情勢」にあると指摘。同会議は武漢市などの封鎖を行う湖北省に「さらに厳格な措置」をとるよう求めた。
これに関連し、米紙ウォールストリート・ジャーナルは25日、米政府が武漢在住の米国民や米外交官を退避させるためチャーター便を準備していると伝えた。