自民党内で憲法改正に向けた機運が高まる中、党中堅議員も地元で憲法集会を開くなど議論の推進に向けた取り組みを本格化させている。「ポスト安倍」に名乗りを上げる岸田文雄政調会長を側近として支える木原誠二政調副会長は27日、地元の東京都東村山市で憲法集会を開き、改憲を目指す有志でつくる国民投票連絡会議を発足させた。発会式で講演した木原氏は「自民党結党以来、憲法改正は党是。令和という新しい時代にふさわしい憲法にしていこう」と改憲の必要性を訴えた。
自民党は昨年10月、憲法集会を促す二階俊博幹事長名の通達を全議員に出すなど党を挙げて改憲に向けた動きを前進させている。岸田氏も積極的に改憲をテーマにした地方政調会を各地で開催している。
木原氏は集会に参加した約200人を前に9条への自衛隊明記など党が掲げる改憲案4項目を説明。自衛隊の活動を紹介するDVDを上映した。木原氏は教科書に自衛隊違憲論が採用されていると指摘し、「緊迫する安全保障環境の中、違憲といわれる自衛隊にどうして私たちを守ってもらえるのか」と現状に疑問を呈した。
党憲法改正推進本部の副本部長を務める柴山昌彦前文部科学相も駆け付け「国民投票で半分を取らなければ憲法改正は実現しない。議論を呼び掛け、大きな世論のうねりをつくっていただきたい」と協力を求めた。
改憲をめぐっては、安倍晋三首相が衆参両院で行われた各党代表質問で国会での議論の進展を重ねて呼び掛けている。しかし、立憲民主党など主要野党が協議に応じる気配はない。
集会で熱心に話を聞いていた不動産賃貸業の男性(74)は「自民党の改憲案の具体的な内容についてもっと勉強したい。こうした集会があればまた参加したい」と語った。