日銀審議委員に安達氏 リフレ派の起用続く


 政府は28日、日本銀行の政策委員会審議委員に丸三証券の安達誠司経済調査部長を充てるなど、国会同意が必要な9機関15人の政府人事案を衆参両院の議院運営委員会理事会に提示した。各党が賛否を決めた上で、衆参両院の本会議で採決される見通し。

 安達氏は3月に任期満了を迎える原田泰審議委員の後任で、任期は5年。両氏とも、金融機関から大量の国債を買って市場にお金を供給する大規模な金融緩和で物価上昇を目指す「リフレ派」だ。安達氏は原田氏や岩田規久男前副総裁らとの共著もある。金融緩和による景気の下支えを求める政府の思惑がうかがえる。

 原田氏はリフレ派の片岡剛士審議委員とともに、日銀が平成28年に導入した金融政策の操作目標をお金の量から金利に転換する「イールドカーブ・コントロール」に反対している。日銀は超低金利が続く中で国債の買い入れ量を減額しており、リフレ派の安達氏が同様に現行政策に反対票を投じ、追加緩和を求めるかが当面の焦点だ。

 一方、海外の中央銀行では副作用の懸念などから大規模緩和を見直す機運が強まりつつある。昨年12月にはスウェーデンの中央銀行が約5年続いたマイナス金利を終了。欧州中央銀行(ECB)も今月、2%弱に設定している物価上昇率目標をはじめ、金融政策戦略の点検を開始した。

 同様に2%目標を掲げ、マイナス金利政策を維持する日銀だが、金融政策は正副総裁と審議委員計9人の多数決で決めており、黒田東彦総裁による大規模緩和路線は当面続く見通し。ただ、行内には将来的に大規模緩和を手じまいする「出口戦略」を目指す動きが根強く、安達氏の審議委員就任や政府の思惑が今後の金融政策運営にどんな波紋を広げるかが注目される。



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