帝人は28日、ドイツに自動車向け部材の開発拠点を新設すると発表した。ガラス繊維や炭素繊維と樹脂を組み合わせた複合材料をベースに新たな部材や部品を設計し、自動車メーカーに提案。軽量化をはじめとする最新ニーズに応え、より“川下”に近い分野への進出を図る。欧州では、ほかの化学合繊大手も拠点を新設したり、現地メーカーを買収するなどしており、採用拡大をにらんだ動きが活発になっている。
帝人は、2月にドイツ西部のヴッパタール市にある炭素繊維子会社の敷地内で、「テイジン・オートモーティブ・センター・ヨーロッパ(TACE)」を開設する。当初は10人規模でスタート。複合材料を使った部材の設計や提案に加えて、将来的には次世代自動車の開発に向けた新技術や市場の調査、M&A(企業の合併・買収)の可能性も探る方針だ。
この日都内で記者会見した帝人の中石昭夫執行役員は「数年以内に具体的な案件の獲得を図りたい」と述べた。
同社は、2018年8月にポルトガルのイナパル・プラスティコ、昨年8月にチェコのベネット・オートモーティブと、複合材料を使った部材の製造を行う欧州企業を相次ぎ傘下に収めている。30年には複合材料事業の売上高を、現在の1000億円前後から倍増させる方針だ。