脳死と判定された男性から提供された心臓を搬送していた福島県警航空隊のヘリコプター「あづま」が1日午前、不時着した事故が起きたことで、移植をあっせんした日本臓器移植ネットワークは同日午後、この心臓移植を断念したと発表した。事故で提供された臓器の移植手術が実施できなかったのは前例がなく、関係者は驚きと落胆をあらわにした。
移植ネットによると、提供された心臓は、ヘリの不時着現場から回収され、その後パトカーで福島空港まで搬送された。さらにチャーター機とヘリを乗り継ぐ形で東京大病院に運ばれた。
東京大病院は心臓の状態を確認した上で「移植後に正常に機能するのか保証できない」として断念した。事故による損傷や時間の経過による影響の可能性などを総合的に判断したという。移植を受ける予定だった男性の家族が受け入れた。