今年7月に開催される2020年東京五輪に向けて、懸念されるサイバー攻撃への対応を強化しようと宮城県警公安課は3日、仙台市内で「サイバー攻撃対策セミナー」を開催した。警視庁などでもサイバー攻撃に関する講演を行う富士通九州システムズの野田孝浩さんが講師として招かれ、「攻撃を受けたときに、被害の拡大を防ぐための体制構築が重要だ」と訴えた。
この日は県警や県内の自治体、インフラ事業者など28機関が参加した。県警の土井善郎公安課長はセミナーに先立ち「五輪では県内でサッカー競技が行われる。最近の五輪では大会を妨害するサイバー攻撃も発生している」と参加者らに注意を促した。
内閣官房内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が公表しているデータによると、2018年平昌五輪では、大会関係者に対するサイバー攻撃が大会開始前の4カ月間で約6億400万件、大会期間中には約550万件発生した。
野田さんはセミナーで「国際的な大規模イベントは標的になりやすい」と指摘した上で、「安易に不審なメールの添付ファイルを開かないなどの対策が必要だ。また、被害を低減させるために多重防御システムを構築することも有効だ」と話した。
県警公安課の渡辺惣事件係長は「警察と民間事業者との連携が大切。最新の攻撃手口を踏まえてシステムを確認していく」とした。