【主張】新型肺炎と経済 失速回避に躊躇許されぬ

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 新型コロナウイルスによる肺炎が日本経済の重しになっている。感染は収束に向かうどころか拡大の一途だ。このまま事態が長引けば、景気が失速しかねないということを厳しく認識しておかなくてはならない。

 影響は、春節休暇の中国人観光客が激減した観光業や小売業にとどまらない。中国経済が悪化すれば、これと密接につながる日本の製造業なども打撃を受ける。その広がりに警戒を怠ってはならない。

 安倍晋三首相は1日の対策本部で「すでに観光を含めた地域経済をはじめ、わが国の経済社会全般にわたって大きな影響をもたらしている」と述べた。ならば万全の対策を取るのは当然である。

 中小企業や地方企業には、今回の事態によって資金繰りが悪化しているところもあろう。緊急融資制度などで企業を支える措置はもちろん、必要な政策を躊躇(ちゅうちょ)なく総動員することが肝要である。

 3日に取引を再開した上海株式市場は一時、春節連休前より9%近く下落した。混乱回避のため、中国人民銀行は1兆2千億元(約18兆7千億円)を市場に供給する異例の措置を打ち出したが、下落の流れを抑え切れなかった。

 中国では、春節時期と重なる感染拡大で消費が悪影響を受けたほか、製造業の生産活動も休業などで縮小し、1~3月期の国内総生産(GDP)成長率が4%台に落ち込む可能性を予測する日本のシンクタンクもある。

 6%前後でも低水準とされる成長率がここまで悪化すれば、その影響は世界中に波及しよう。政府・日銀は市場や実体経済の変調に細心の注意を払う必要がある。

 政府は昨秋の消費税増税を受けて、事業規模26兆円の経済対策を打ち出した。この一部を盛り込んだ令和元年度補正予算が成立したばかりであり、これを円滑に執行すべきなのも論をまたない。

 気を付けたいのは、この対策があるから景気悪化は避けられると高をくくることだ。新型肺炎の蔓延(まんえん)により、昨年の対策策定時とは経済環境が大きく変化していることを踏まえなければならない。

 ただでさえ今の日本経済は、消費税の影響や海外経済の減速リスクにさらされている。米中貿易摩擦は休戦状態だが、新たに新型肺炎のリスクが加わった。後手の対応が許されるほど景気に力強さがないことを銘記しておきたい。

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