新型コロナウイルスによる肺炎の感染者が国内でも相次ぐ中、福島市観光コンベンション協会(渡辺和裕会長)は、福島市内の旅館やホテルで中国語圏の宿泊客が体調不良などを訴えた際、携帯電話を利用し客とスタッフの通訳を行う支援に乗り出した。
急速な感染拡大を受け、福島市は市内の宿泊業者に対し、発症を訴えた宿泊客に受診を勧める▽希望者には医療機関を紹介▽発症者が中国・武漢への渡航歴があり発熱などがある場合は保健所に連絡する-などとする協力依頼を行った。
依頼を受けた宿泊業者からは「英語はともかく中国語は難しい」など、速やかな対応を懸念する声が上がった。そのため、同協会が携帯電話による無償の通訳支援を決定。支援は新型肺炎に関する健康状態の確認や医療機関などの相談を、中国語を話す宿泊客から宿泊施設が受け、複雑な意思疎通が必要な場合に行う。
通訳を依頼する宿泊施設のスタッフは、通訳担当者にダイヤルし端末をスピーカー機能にして客と会話。そこで交わされる中国語と日本語を携帯電話で聞いた担当者が訳し、会話を成立させる。支援業務は、北京の大学に留学し中国の旅行会社に勤務した経験もある同協会の高橋康業務部長(48)を中心に実施。国際結婚して福島に住み、ボランティア活動に従事している中国出身の女性など数人が協力する。
福島市内には70軒以上の宿泊施設があり、支援は事前に申し込んだ施設に対して行う。なお、プロの通訳でなく誤訳の可能性があるため、支援できるのはその留意事項を了承した施設に限るという。同協会の吉田秀政事務局長(47)は「不安を感じている人も多く(通訳支援の)ニーズは高いのでは」と話している。