【相模原45人殺傷被告人質問詳報】(2)「どう責任を取るのか」かみ合わない問答に「切ない」





横浜地裁で開かれる植松聖被告の裁判員裁判第10回公判で傍聴券を求めて列を作る人たち=5日午前、横浜市

 《植松聖(さとし)被告への、姉が犠牲となった男性による被告人質問が続いている》

 《遮蔽物なしで被告と向き合っている男性。多くの質問の冒頭で「植松聖さん」とフルネームで呼びかけ、植松被告が答えると「ありがとうございます」と一言を添える》

 男性「(事件が起きた)津久井やまゆり園に、どうして入った(就職した)のですか」

 植松被告「たまたまです」

 男性「コンプレックスが事件を引き起こしたのではと思えますが、いかがですか」

 植松被告「うーん、確かに、うーん、こんなことはしないでよい社会に…」

 男性「ゆっくりどうぞ」

 《答えにくい質問だったのか、植松被告は混乱した様子を見せた》

 植松被告「歌手とか野球選手になれるならなっています。ただ自分ができる中で、有意義だと思います」

 男性「野球選手になるのと(今回の事件は)かけ離れています」

 植松被告「なれるならそっちになります」

 男性「責任能力とは、どういうことですか」

 植松被告「意思の疎通が取れるということだと思います」

 《「意思の疎通がとれる」というのは、殺害するかどうかを判断する「基準」として、これまでの裁判の中で植松被告が主張してきたことだ。ただ、男性が聞きたかったのは植松被告自身の責任能力についてとみられる。男性は「意思疎通じゃなく…」と再質問したが、植松被告は「意思の疎通が取れることです」と繰り返すのみだった》

 男性「最後に1つお聞きします。植松聖さん、甲Eを殺してどう責任を取ってくれるんですか。私に対して」

 《終始柔らかかった男性の声が、このときばかりはわずかに鋭くなった》

 植松被告「長年育てられたお母さんのことを思うといたたまれなく思います」 《犠牲になった女性の弟である男性が「私に対して」と聞いたのに、女性の母親について言葉を述べる植松被告。これに対し男性は、男性と姉の母は20年前に亡くなっており、男性が姉のケアをしてきたと述べた》

 男性「なんだか切なくなってきました。これで終わりにします。ありがとうございます」

 《質問がかみ合わず、やりきれなさを感じたのだろうか。男性は悲しげな表情を浮かべたが、最後まで丁寧さを欠かなかった》

 《続いて、事件で重傷を負った尾野一矢(かずや)さん(46)の父、剛志(たかし)さん(76)の質問が始まった。植松被告の方をまっすぐに見据え、はっきりとした声で問いかける》

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