岸田、麻生両派が急接近 総裁選へ布石も「大宏池会」には慎重論


 「ポスト安倍」候補で自民党岸田派(宏池会、46人)会長の岸田文雄政調会長と、かつて宏池会から分かれた麻生派(志公会、54人)を率いる麻生太郎副総理兼財務相が急接近している。岸田氏は次期党総裁選を見据え麻生氏や同派幹部との会合を重ね、麻生氏も岸田氏への支持をにじませる。宏池会を再結集する「大宏池会構想」を想起させるが、両派内には合流慎重論もなお根強い。(今仲信博)

 岸田氏は4日夜、麻生派の松本純事務局長と会食した。平成30年の前回総裁選後、岸田氏は麻生派幹部と会合を重ね、昨年には総裁候補になるための「指南書」も手渡された。安倍晋三首相は有力な後継候補として岸田氏に言及し、岸田派中堅は「『チーム安倍』と組むならば、首相の盟友である麻生氏との連携は必須だ。宏池会の流れをくむ麻生派とならば組みやすい」と語る。

 麻生氏も月刊誌『文芸春秋』(1月号)のインタビューで「少し激しいといわれた安倍さんの後は、穏やかな岸田さんが総理をやって、(中略)そういう展開は大いに考えられる」と主張。周囲には「本人もだいぶ自覚が出てきたというか、置かれている立場が分かってきている」と話す。

 岸田氏が連携を期待する対象は麻生派だけではない。1月23日夜には麻生派副会長の鈴木俊一党総務会長とともに、宏池会の流れをくむ谷垣グループ(有隣会)の逢沢一郎元国対委員長と会食した。同席者は岸田氏について「伝統ある宏池会会長として首相にならなければならないとの雰囲気を感じた」と明かした。

 構想が実現すれば100人規模となり、最大派閥の細田派(清和政策研究会、97人)を上回る大所帯となる。ただ、「派閥のハンドリング(運用)ができなくなる」(麻生派幹部)、「人数で勝る麻生派に主導権を握られる」(岸田派若手)といった合流慎重論は少なくない。総裁選で岸田氏を支える緩やかな連携にとどめるべきだとの意見もあるほか、麻生氏と距離がある宏池会の古賀誠名誉会長の動向も焦点となりそうだ。



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