【ワシントン=住井亨介】トランプ米大統領は4日夜(日本時間5日午前)、上下両院合同会議で内外政策課題などを示す一般教書演説を行った。再選を目指す11月の大統領選に向けて「偉大なる米国の再起」を訴えた。中国との貿易交渉をめぐり米中が1月15日に署名した「第1段階の合意」に関し、米国製品の新たな市場を開くものとして、成果を強調した。
トランプ氏は、米中合意が米国内の雇用を守り、知的財産を保護することにつながると指摘した。演説ではさらに、政権発足後に達成した雇用増加や失業率の低下など経済面での実績を誇示した。
トランプ氏は、就任以来の経済政策で「ほんの少し前までは想像もできなかったペースで前進している。もう後戻りはしない」と強調。「労働者層が景気づいている」とも述べた。
メキシコ、カナダと結ぶ北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定、規制緩和の推進などを列挙し、海外移転した製造業を米国に呼び戻して雇用増につなげた意義をアピール。好景気による低失業率のほか、米国が「世界一の原油、天然ガス生産国」となってエネルギー価格を抑制した実績を訴える。
外交・安全保障問題では、「米国の国家安全保障」を前面に打ち出し、緊張が高まった対イラン政策などに言及する予定だ。
また、医療費や薬価の引き下げの重要性に触れるとともに、国民皆保険など左派勢力の「社会主義的」な政策への対抗案を提示。
トランプ氏のウクライナ疑惑をめぐり上院で開かれている弾劾裁判では、5日の評決で同氏の「無罪」が決まるとみられている。野党・民主党からの追及を受ける中、11月の大統領選をにらみ、昨年の一般教書演説に続き、同党内に広がる左派勢力を牽制(けんせい)する。
一般教書演説・詳報(1)「3年前、われわれは偉大なる米国の再起に乗り出した」