京都市の国立京都国際会館で6日に開幕した「第58回関西財界セミナー」では、不安定な国際情勢やデジタル技術の進展、ベンチャー支援など、関西企業が直面する課題を6つの分科会で話し合った。激変する経営環境にどう対応していくのか。経営トップや学識経験者らが真剣な議論を交わした。
■国際情勢
第1分科会では、米中摩擦など不安定さを増す世界経済への対応について活発な議論が行われた。新型肺炎への対応についての発言も目立った。
米中問題については、貿易摩擦だけでなく次世代通信規格「5G」などデジタル技術の覇権をめぐる対立でもあるとした上で、パナソニックの松下正幸特別顧問は「各企業は柔軟に対応できる仕組みを取る必要がある」と強調した。
日立造船の谷所敬会長兼社長は、中国が自国産業の成長とともに海外からの参入ルールを変えていると指摘。「10年前は国際入札で参入できた環境事業が、途中から現地企業との合弁を迫られるようになり、現在はライセンス供与に切り替えられた」とした。
一方、阪和興業の古川弘成社長は「中国の私企業をみると、日本の松下幸之助氏をほうふつとさせる。関西財界、関西人が失った自由な積極性を体現している」と述べ、日本企業も見習うべきだと指摘した。
■デジタル社会
産業や農業などさまざまな分野で実用化が進むAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボティクス(ロボット工学)。少子高齢化で人手不足や地方の過疎化が進む日本では、こうしたデジタル技術の発展が急務だ。第2分科会では「デジタル社会」をテーマに日本の現状や課題を議論した。
りそなホールディングスの東和浩社長は、キャッシュレスサービスなどが乱立している現状を例に挙げ、「デジタル化を試行で終わらせないためには、行政や民間の業界団体が方式を結合、統合することが必要」と提案した。