バス運転手不足深刻化 日本バス協会が外国人材確保へ日本語N4への緩和求める

日本バス協会は6月13日、第98回定時総会を開催しました。清水一郎会長は冒頭の挨拶で、バス運転手不足による路線の廃止など、各地で影響が出ている現状の深刻さを強調しました。特に、2024年4月以降の働き方改革による拘束時間短縮が、人手不足に拍車をかけています。協会は、運転者の確保という喫緊の課題に対し、今後も政府への要望を含めた様々な取り組みを推進していく方針です。

運転手不足解消に向けた施策

清水会長は、運転者確保には「従来から言い続けていることだが、賃上げをするしかない」と改めて言及しました。輸送人数がコロナ禍前の水準に戻らない中、賃金の原資となる運賃収入の増加を図るため、政府に「定期的な運賃の値上げができるよう」要望していることを明らかにしました。貸切バスについては、2025年秋頃に予定されている2年ごとの公示運賃の見直しにおいて、近年の物価上昇などの実態に即したものとなるよう、要望していく方針です。

外国人バス運転手の受け入れ拡大へ

運転手不足対策の一環として、外国人バス運転手の確保に積極的な取り組みを進めています。特定技能資格でバス運転手を目指す外国人に課せられる日本語能力要件について、現行の「N3」から「N4」への緩和を政府に要望しており、この件に関する有識者会議での議論が先ごろ始まりました。日本バス協会によると、2024年3月に自動車運送業が特定技能1号(在留資格)の対象分野に追加されたことを受け、同年度中に一部事業者が受け入れ準備を実施しました。これにより、2025年中には外国人バス運転手が誕生する見込みです。協会は、特定技能資格についても、受け入れ期間が最長5年間の「特定技能1号」から、受け入れ期間の上限がない「特定技能2号」への変更も求めていくことで、より長期的な人材確保を目指します。

日本バス協会が推進する外国人バス運転手受け入れ拡大に向けた施策日本バス協会が推進する外国人バス運転手受け入れ拡大に向けた施策

その他の重要施策とインバウンド対応

これらの主要な取り組みに加え、かねてから推進しているキャッシュレス化の促進や、自動運転バス(レベル4)の本格運行に向けた要望なども継続しています。特にEVバスの導入促進においては、今年度、2026年度からの車体課税見直しを踏まえ、自動車税種別割のグリーン化特例と自動車重量税のエコカー減税を、バス車体の償却期間と同じ5年間に延長する拡充要望を行っていく方針です。また、好調に推移するインバウンド需要を見据え、「バス業界としても積極的な取り組みを進める」と表明。政府に対し、訪日外国人旅行者のバス利用支援に繋がる関係予算の確保を求めています。

これらの要望や取り組みは、深刻化するバス運転手不足問題の解消、業界の持続可能性向上、そして多様化・変化する社会ニーズへの対応を目指すものです。日本バス協会は、今後も政府や関係機関と密接に連携し、喫緊の課題解決に向けた施策を強力に推進していく姿勢を示しました。

[引用元] トラベルボイス編集部発 Yahoo!ニュース掲載記事