《日本テレビ系「行列のできる法律相談所」に「史上最強の弁護士軍団」の一人としてレギュラー出演し、一躍全国区に。司会者が笑わせようとしても、表情一つ変えない法律家についたあだ名は「笑わない弁護士」だった》
率直に言えば、私生活ではよく笑うんです。弁護士の仕事では、法廷でさまざまな制約があります。番組は制約がないので自由に主張できます。ただ、バラエティーではありますが、法律を扱う番組です。弁護士として出演していますから、ふざけた感じになるのはよくありません。まじめに仕事している全国の弁護士にも申し訳ないので笑わなかった。番組の収録で難しいのは編集でカットされることです。法的な理由でいちばん重要な部分がカットされることも。ただ、今は放送を見た法律の専門家からどう思われても、一般の人が面白ければと割り切っています。最初は抵抗がありましたが、理屈をこねても仕方ないですし、編集で文句を言っても仕方ないので、「カットしたくない」と思わせるように話すしかないと思うようになりました。テレビはサプライズを求めます。「こう話せば、ちょっとした驚きがあるかな」とか「こんな視点はどうかな」と考えて話します。
《無愛想でクールなイメージだが、高校野球にまつわる法律相談ではつい熱が入った》
高校野球の夏の地方大会準決勝。肩を痛めた3年生の投手がいて、この投手が投げなければ絶対負けるという試合です。その投手が「投げたい」と希望し、監督は投げさせたという内容でした。「プロ野球にも行けるような逸材だったのに肩が壊れた。野球部の監督に損害賠償請求はできるか」という問題です。他の弁護士は「損害賠償請求はできる」という主張でした。私はつい「冗談じゃない。高校生が甲子園を目指すのはどういうことか分かっているのか。本気で甲子園を目指したことがない者に何が分かるか」と主張。自分としてはそれほど高校野球に対する思いが強かったんですね。「18歳の高校生は自分の人生を自分の責任において決めることができるのだ」という理屈です。