政府が、市販前の自動運転車について、安全性が確保されているかどうか調べる仕組みをつくることが11日、わかった。これまでより高度な「レベル3」と呼ばれる自動運転が4月にも解禁されるのに合わせて、コンピューター上のシミュレーションや公道での審査を新たに取り入れる。自動車業界の協力を得て安全性を評価する基準を設け、メーカーが申請する車に搭載される自動運転装置の性能を確認して販売を認めるか判断。審査手法の進化は、本格的な自動運転時代の到来を象徴する。
自動車メーカーは、乗用車の生産を始める前に、サンプルとなる車の性能が保安基準に適合しているかどうか、国の審査を受ける。「型式」(かたしき)として認められれば、大量生産した車を自社で検査して市販できる。
自動ブレーキなどの先進安全機能はこれまで、その性能が市販を認めるかの判断材料にはならなかった。だが、レベル3では、特定の条件下でシステムが運転する。一定の性能を満たせなければ安全を確保できないため、型式認証制度の中で審査することにした。
例えば、前方に車が割り込んできた場合、どれ位のスピードや距離までなら衝突を回避できる性能が求められるかが基準となる。現時点でレベル3は、高速道での渋滞中といった条件下で実現すると想定。条件を逸脱した場合、警報などでドライバーを確実に運転に復帰させられるかも重視される。一般の車は性能をテストコースで確認しているが、自動運転車はシミュレーションで膨大な項目を調べ、テストコースや公道でも検証する。国土交通省幹部は、「これまでとは比較にならないほど、審査が複雑になる」と指摘する。
日本自動車工業会は、大手メーカーの知見を集め、自動運転車の走行時に想定される状況を体系化。これに基づき、「合理的な安全性の評価手法」(関係者)を研究して政府や、自動運転の世界標準づくりを進める国連傘下の団体に提案してきた。政府は国際的な議論と調和した審査手法を導入することで、日本メーカーが自動運転車を海外でも販売しやすくなるように配慮する。