なじみのない米国人にも受け入れられる焼酎を目指し蒸留に取り組んで3年。「麦の味と香りを最大限生かしながらきれいな味に仕上がった」
試行錯誤の末に完成した麦焼酎「UMAI!」が、地元の米東部メリーランド州モントゴメリー郡内の酒小売店で売れ筋上位銘柄の約4%に食い込んだ。米本土で日本人による本格焼酎の蔵元は初という。
酒類販売で厳しい規制がある同郡では米有名ブランドを押しのけての販路開拓は困難を伴ったが、郡担当者からは「ダントツのトップセラーだ」と驚かれた。
アルコール度数の高い酒の人気が高まっている米国だが、焼酎は日本酒ほどの人気はなく、当然ながら最初は「何これ?」という反応。ところが、試飲すると「なぜ今まで知らなかったのか?」と透き通った飲み口に魅了されるという。
週末のファーマーズ・マーケットの対面販売では、カクテル風にするなどの楽しみ方を伝えており、首都ワシントンのレストランでも人気が高まっている。
ベンチャー企業が集まる研究施設の一室を間借りし、有機栽培のカリフォルニア産大麦、日本から取り寄せた酵母、麹菌を使って独自製法で造っている。
日米企業のコンサルタントを行う会社の経営から異業種へ。「日米の懸け橋となれるよう、日本で最もクールなものを米国へ持ってきて浸透させたい」と一念発起した。
米有名シェフの店に置いてもらえることになったほか、昨年末には新銘柄も発売した。外国人客が多く訪れる今年の東京五輪・パラリンピック開催に合わせて日本上陸も目指す。(ワシントン 住井亨介)
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あまの・たかつぐ 1966年6月18日、東京都生まれ。米ノースカロライナ大卒業後、マネジメントコンサルタント会社を設立し、日米間を行き来しながら主にバイオ関係の企業参入を支援。2015年に「アメリカン・ショウチュウ・カンパニー」を設立した。家族は妻のリンさんと1男1女。