【米大統領選】民主党支持層に亀裂 急進左派と穏健派


 【マンチェスター(米ニューハンプシャー州)=平田雄介】米大統領選の民主党候補指名争いの第2戦、東部ニューハンプシャー州予備選で支持者に話を聞くと、急進左派と穏健派の間だけでなく、穏健派内の亀裂も深まっていた。

 勝利宣言した急進左派のサンダース上院議員(78)がマンチェスターで開いた集会の会場では、11日午後5時ごろからニット帽をかぶり、コートを着込んだ人が列を作った。

 先頭で並んでいたクレイさん(42)はサンダース氏なら11月の本選でトランプ米大統領を破ることができると信じ、ボランティアで戸別訪問など草の根の選挙活動を行っている。

 「誰も私のことを気にかけてくれない。国民皆保険の導入を訴える彼だけが気にかけてくれるの」

 クレイさんは、涙ぐみながらサンダース氏と一緒に撮った写真を周囲に見せる。マッサージ師や清掃など複数の仕事を掛け持ちし、生活は苦しい。医療保険にも入れていない。

 サンダース氏のライバルで、躍進する中道穏健派のブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長(38)について聞かれると、「民間の医療保険を活用する考えだから大企業の味方。富裕層の献金も受けている」と語気を強めた。

 若者はサンダース氏が唱える国民皆保険、富裕層増税、大学無償化といった格差対策を熱狂的に支持するが、その矛先は富裕層に生ぬるいという理由で党内の穏健派にも向けられる。

 ブティジェッジ氏は「民主党員だけでなく、無党派層や共和党支持者も取り込んで米社会に一体感をもたらす」と語る。トランプ氏に勝利するには国民の糾合が必要と考えるからだ。

 しかし、本命視されながら緒戦2州で苦戦した穏健派、バイデン前副大統領(77)の支持者は、若々しく精力的に活動するブティジェッジ氏の登場に危機感を抱く。州北部の過疎の村に住むカールさん(73)はブティジェッジ氏を「いくら優秀でも市政経験だけでは不十分。バイデン氏の副大統領として外交を学ぶべきだ」と批判した。

 ニューハンプシャー州で3位に付けた穏健派のクロブシャー上院議員(59)は米社会に横たわる「分断」の解消を期待される。作家のクーマンさん(38)はバイデン氏からクロブシャー氏に支持を変えた。「超党派で100本を超える議案を成立させた彼女なら溝を埋められるかも」と期待したからだ。



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