【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領は13日、自身が提案した憲法改正案を協議する作業部会の会合に出席し、「改正憲法に露領土の他国への割譲を禁じる規定を盛り込むべきだ」とする作業部会メンバーの提案に賛意を示し、同様の規定を新憲法に盛り込むことを検討すべきだとの認識を表明した。新憲法に領土割譲の禁止が明記された場合、日本との北方領土交渉に影響が及ぶ可能性がある。
作業部会メンバーである俳優のマシュコフ氏は会合で、北方領土や、ロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島、飛び地のカリーニングラード州を領土問題が指摘されている地域として例示。その上で「憲法で領土割譲を禁止すべきだ。領土の引き渡しは当然、交渉でさえ禁止すべきだ」と述べた。
プーチン氏は、「その提案を気に入った。適切な形でそれを条文化するよう法律家に指示しよう」と賛意を表明した。
プーチン氏と安倍晋三首相は18年、「平和条約締結後にソ連は歯舞(はぼまい)群島と色丹(しこたん)島を日本に引き渡す」と定めた1956年の日ソ共同宣言に基づき、平和条約交渉を加速することで合意している。