【藤本欣也の香港探訪】中国人“爆買い”の街に「トイレも使えるマスク」があった!





香港・上水では中国人客が来なくなりシャッターを下ろした店が目立つ(藤本欣也撮影)
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 肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。中国広東省に隣接する香港でも同様だ。香港政府は防疫対策として中国本土との境界の大部分を閉鎖した。となると、中国人の“爆買い”の街、上水はどうなってしまうのか。香港最北部に向かった。

 新界地区の上水は、広東省深センから4キロしか離れていない人口約9万人(2016年調べ)の街だ。

 すぐ近くにある羅湖の出入境施設を通って、中国本土から毎日のように「水貨客」たちが押し寄せてくることで知られた。

 水貨客とは、薬や化粧品などを“爆買い”して、中国本土で転売し利ザヤを稼ぐ中国人たちのことだ。

 地元、北区の林子●=王へんに京=(りん・しけい)区議会議員(民主党)は水貨客の悪影響についてこう列挙する。

 (1)狭い車道を中国人たちが大きなスーツケースを引きずって歩くので渋滞を引き起こす(2)商品が入っていた段ボールなどのゴミが街に散乱する(3)薬や化粧品、日用品の価格、レストランの食事代、テナント料が上がり、地元住民の生活に響く(4)古い商店がつぶれ、中国人客目当ての薬局や化粧品店ばかりが出店するようになった-などだ。

 転機が訪れたのは昨年6月。逃亡犯条例改正問題を発端に香港政府・中国共産党への抗議デモが本格化し反中ムードが広がった。上水でも若者らがデモを行い、中国人の“爆買い”への反対運動が起きた。

 香港紙、蘋果日報によると、「この2カ月間で中国人の客が2割減り、店舗の1割以上が閉店に追い込まれた」(地元の商工会)という。

 追い打ちをかけたのが新型肺炎だ。香港政府は防疫対策として2月4日、羅湖の出入境施設を閉鎖した。事実上、上水に入るゲートを閉めたも同然である。

 上水はどうなっているのか。九竜半島南部のホンハムから鉄道で約30分、中国人の“爆買い”で知られた街へ向かった。

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 上水駅前の商店街を歩く。意外にも活気があった。シャッターを下ろした店も目立つが、営業している店舗も多い。

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