日銀大阪支店は18日に発表した関西金融経済動向で、近畿2府4県の景気判断に新型コロナウイルス感染拡大の影響を盛り込み、4年3カ月ぶりに引き下げた。中国人観光客の減少で消費が落ち込んだためで、山田泰弘支店長は「これまでは中国との結びつきが強みだったが、今回は他地域に比べてより大きな打撃を受けることになった」と述べた。
同支店が景気判断を引き下げるのは、中国など新興国の景気減速による影響があった平成27年11月以来。今回の景気判断は「基調としては緩やかな拡大を続けているものの、足もとでは新型コロナウイルス感染症の影響がみられている」とした。今年1月は「一部に弱めの動きがみられるものの、緩やかな拡大を続けている」だった。
中国人観光客による消費が伸びる春節シーズンだが、関西国際空港で中国便の多くが欠航。企業へのヒアリングでは、一部の百貨店などで免税売り上げが例年に比べて10%前後の落ち込みがあったほか、小売りや宿泊業から「消費回復は新型ウイルスの終息次第」という声が聞かれたという。国内の個人消費にも外出控えの影響が出ている。
輸出や生産については現時点で大きな影響はなかった。ただ、感染の長期化による中国国内の経済減速や、現地生産拠点の稼働停止が波及しかねないと懸念した。