飼い主のいない猫の保護活動が全国の自治体で広がりを見せる中、「猫の殺処分ゼロ」を各地に先駆けて実現した千代田区に注目が集まっている。同区は平成23年から「猫の殺処分ゼロ」を続けているが、行政とボランティア、動物病院が連携する取り組みは「千代田モデル」と呼ばれ、地方の自治体からも問い合わせがあるという。(本江希望)
区がボランティア募り関与
「命あるものを大切にするのは当然のこと。これからも継続してほしい」
小池百合子都知事は今月15日、千代田区とボランティア団体が開催した「ちよだ猫まつり」に来場し、同区の取り組みをたたえ、こう激励した。
飼い主のいない猫をめぐっては糞(ふん)害などが問題になり、いまも行政による殺処分が行われているのが現実。保護も行われているが、多くは家庭やボランティアなどの自主的な取り組みに支えられている。
しかし、千代田区では、行政が殺処分を進めるのではなく、街中の猫を保護するボランティアを募り、積極的に猫の命を守る活動に関与。保護した猫の飼い主を探す取り組みが行われてきた。
26年からは、新しい飼い主に猫を引き渡すまでの間に、猫の去勢・不妊手術だけでなく、感染症の予防や必要に応じて病気やけがの治療などや、動物病院での一時預かりにかかる費用も、区が助成する取り組みも行われているという。
糞害・餌やりへの苦情きっかけ
こうした活動を始めたきっかけは、区に寄せられた猫の糞害や、餌やりへの苦情だったという。
「こうした問題に対処するには、これ以上猫を増やさないようにしなければならないと考え、ボランティアを募り、区とボランティア、動物病院が連携する態勢をつくった」と区地域保健課の山崎崇課長は語る。